人が増えれば増えるほどその連携の難易度は高まり、伝達が難しくなります。故に昨今の労働者はチームで仕事を行うことを「非効率」だとして避けがちな傾向にありますが、これは大きな間違いです。

こうしたチームワークを嫌がる労働者の理屈として多いのが「自分が○○をしてくれ、と仲間に頼んでも、自分の思ったように仕事をしてくれるわけではない」というもの。確かに、自分の意図がなかなか伝わらなかったり、伝達によって作業効率が低下するのであれば、よく理解している「自分の能力」を使うのが一番手っ取り早いように感じるのも、無理はないのかもしれません。しかしそれは、「共同作業」そのものの利点を勘違いしているからではないでしょうか?人間はそのものは持っている性質も理解力も違うため、共同して仕事を進める上で仲間に「自分と全く同じ能力」を求めるのは大きな間違いです。むしろ「チームワーク」は違う能力をもった人々が集まり力を合わせることで大きな力を得られる、と言えるでしょう。あなたがAという作業が得意なのであれば、あなたがAを行い、あなたがさほど得意ではないけれど仲間が得意な作業であるBを仲間に任せる。それが本来あるべき「仲間で力を合わせる」作業の姿なのです。

ひとつの作業を全員で行うということは確かに効率が悪いといえますが、雇用側が労働者の「チームワーク」の形成を促しているのはこの「分業」スタイルをきちんと効率的に行うことができるように、という願いがあるからなのです。